†君、男~Memory.. limit of grief~


「じゃまた明日ねー」


恵や燐。慎と真以外は
先に帰って行く。
残された4人は今日の仕事を片付けていた。


「な―…慎。
 お前は想われすぎってどう思う?」


「は?」


突然の質問。
プリントに目をやりながら真は言う。


「つまり、ずーっと片思いしてる
 やつの事を言ってんだよ。
 重すぎるって思うか、それとも嬉しいか」


「嬉しいんじゃないの?
 そんだけ自分を好きだと思ってくれてる人がいるなら」


手を休め、ついつい話を聞く体制になる。
燐も話しに入ってきた。


「でもしつこすぎる人はヤですよね。
 まぁ自分が体験してないから
 分かんないだけかもしれないし」


「俺が思うに、そこまで思うのってさ…
 途中で考え方変わってきてるんじゃねーかと思うんだよ」


「…」


さっきまで仕事の整理をしていた
恵の手が止まり、真達の方に体を向けた。


「最初は好きで思ってても、
 途中からそれが強いと思ってんじゃねーかなって」


「どういう意味だよ。
 お前の言う事は難しいからな」


「最後まで聞け。
 つまり思い続ければ自分は
 守られるって思ってるにしか
 俺は考えられないな」


「…というと、好きという気持ちが
 自分を守る役割に変わってる…と?」


燐が話を分かったように尋ねる。
「そうそう」と真は嬉しそうに指を刺す。



「自分が皮肉だから、ちょっとでも
 強いとこを見せたいんだろ?
 それって結局、
 弱いのバレたくないだけだろ」


「      」


ガシャーン!!!


「きゃー!」




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