†君、男~Memory.. limit of grief~







「めぐちゃん。この子は優介君。
 貴方と10歳も年が離れてるのよ。
 けど、仲良くね」


初めて優兄と出会った10年前。
その当時にはもう今の私と同じ年。


遊び盛りの中で、学校帰りに
私の家に寄っては私の相手をしてくれた。


兄弟のいない私にとっては
お兄ちゃんと呼べる存在で…
だから幼い私は“優兄”って呼んでいたんだろう。



私の親が仕事でいない時、
優兄は私が寝るまで付き添ってくれた。


私のために何かをしてくれることが
すごく嬉しくて、私は何かお礼は出来ないかと
優兄の話をいつも聞いてあげた。


学校で嫌な事があったとか、
行事の盛り上がり。


いつか私もこういうことをするんだってことを
教えてくれた。



そしてそれはずっと繰り返され、
月日は流れていっていた。




しかし私が9歳、優兄が19歳になった時、
バイトや勉強で忙しくて会える日が
どんどん減っていた時である。


その時の私は、いつか捨てられていく、
そんな感じになっていたんだ。


10歳年下の子の面倒を見るのも
さすがに疲れてくるだろう…と。



しかし、会える日は減ったが
それでも優兄は休みの日には必ず
私と遊んでくれた。


どうしてここまで私を構うのか分からなかったが、
それでも一人っ子の私にとっては
心が落ち着くものだった。



絶対この人を悲しませない。
そう強く誓った。…誓ったのに。



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