†君、男~Memory.. limit of grief~


ポツポツと振り出してきた
雨で視界が悪くなってくる。


待ち合わせ場所に優兄は
いなかった―――…


30分の遅刻だ。


慌てて私が次に向かったのは
優兄の家。
そこで私が見た光景は、


車に乗り込もうとした優兄の姿だった。



「優兄!!」


「…レイン」


雨の強さはどんどん強くなる。
さらに視界が悪くなっていった。


「待ち合わせ場所に行けなくてゴメン…
 電話が繋がらなくて――」


理由を言う途中で話が途切れる。
優介が恵が言う前に言ったからだ。


「俺、引っ越すんだ」


「え―――…?」


「レインなら来ると信じてた…ごめんな。
 俺は、もう昔のようにレインと
 話すことは出来そうにない」


「どういうこと?」


「レインの知ってる俺はもういないんだ。
 優しくも出来ない。遊ぶこともだ。
 孤独に生きた証なのかもな…」


「何言ってるか分かんないよ。
 何で遊べなくなるの…?
 優兄と会えなくなるなんて嫌だよ」


雨と一緒に零れ落ちる涙。
涙のせいで息も荒れ、声も
出なくなってきていた。


「人はいつだって孤独だ。
 それをどう感じるかは自分次第。
 俺の場合、寂しさの気持ちは
 憎しみに変わりそうだ」




「さよなら、レイン」





「       」


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