†君、男~Memory.. limit of grief~



「偽りなんかじゃない。絶対に」


「      」


「弱い自分を隠すってことは
 それだけ強くなりたいと思ってるの。
 それだけ…相手を想ってる証拠なの。
 レインの罪はもう十分補ってきてる。
 6年間、探してたんでしょ?」


燐は恵を離す。
二人ともしゃがみ込んだ。


「レインの気持ち
 私はちゃんと知ってるから」


「燐―――…」



私が…
誰かをこんなにも
愛おしい思えたのなら、


それで神は許してくれる?


ううん、きっと許してはくれない。



燐の言うように、
弱さが強さと同じなら


これから先も好きでい続けることが
一番の罪を償うモノなの?



「諦めたらもっと罪深いものだから…
 レインを試したんじゃないのかな?
 ちょっとした言葉で動くのなら
 それは偽者…諦めようとしたけど
 今でもちゃんと気持ちが心にあり続けてる。
 だから…合格!」


満面の笑みで燐は
恵の頭を撫でた。


冷たい風が吹き、
花が舞う。
校舎を見ると優介が
廊下を歩いていた。



優兄―――…


貴方は私を試してる。


貴方を想い、貴方を救いたい。

私が変わったのもきっと関係している。
けど、それだけじゃない気がするの。



貴方の孤独の寂しさが
憎しみに変わった理由を知りたい。


貴方の過去を、
知りたいの―――…





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