†君、男~Memory.. limit of grief~

「さすがレインだねー」


ケラケラと笑う燐。
放課後、中庭でジュースを飲みながら
今日のテストについて話していた。


「別にすごくない。
 頑張ったから取れただけだ。
 燐もそれぐらい取れるだろ?」


「難しいですー。
 まっ期末は頑張るけどさ」


太陽が照りつけ、
中庭にある池にその光は反射していた。
燐はそこに向かって歩いていく。


「あーあー…レインと同じクラスが良かったな」


「何だ、急に?
 燐らしくない」


「…寂しいって時あるじゃない。
 今まで一緒にいた人が離れたりしたらさ」


「……そうかもね」



その言葉、重いよ――…



今の私には重過ぎる。


「でもレインよりは
 先に彼氏作るー」


「何の意気込みだよ」


クスっと笑い恵みは
燐の隣に立つ。


「高校生ならそう思うの。
 レインは綺麗だし、スタイルいいし…
 私はこれといって特徴ないしなー」


「そんなに願う必要はないでしょ…。
 誰か一人でも燐の事を
 分かってくれる人がいれば、
 少なくとも私の場合それで十分だ」


「その分かってる人って
 レインのこと?」


期待しながら燐は恵の
顔を覗き込む。


「そうだといいなー」


「あっ!正直じゃない。
 まぁレインのことを知ってる人は
 私だけどねー」


満面の笑みだった。
恵は一息つく。


こういう時間が、
何よりも落ち着いた。
疲れが取れるからだ。


「レインがいれば、
 雨も降らないね」


「え?」



“レイン”―――…



それは雨を記す。


大切な人がつけたその名前。
私は今でも大切に持っている。



鎖を繋げる為?


違う…



違うのに―――…


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