†君、男~Memory.. limit of grief~


「はぁ…」


「何だため息ついて」


めっきり暗くなった燐。
昼から生徒会があったため二人は中庭で
お昼を食べていた。


「だってレインじゃなくて
 私の担任が佐伯先生だもん」


「そんなことでため息か?
 おせっかいだな」


ストローで牛乳を飲みながら
呆れた返事をする。


燐は我慢できなくなったのか、
大声で「それだけじゃないの!」と言った。
さすがの恵も唖然としていた。


「それだけじゃないって何だ…」


「だっだからそれは…
 一人、問題な人がいて」


「問題な人?」


恵は訊き、言葉が詰まった燐は俯く。
もう後には引けなかった。


「北瀬 麻耶って事がいるんだよ」


「誰だそれ?」


「1年の時も同じクラスだったんだけど、
 どうも私はその人と性格合わない…って言うか
 性格が嫌いなの。
 何か変に可愛く振舞うし、1年の間で
 その可愛らしさが受けたのか何人からも
 告白されて付き合って別れたり。
 今日も…」


燐はそこで止めた。
恵の表情が曇ったからだ。


「で、今日は優兄に話しかけてたってことか?」


「…お見事」


引きつる燐。
くだらない、と恵はゴミ箱に向けて
牛乳を放り投げて入れた。


恵は立ち上がり数歩歩いたところで
立ち止まる。目の前には優介に近寄る
3人の女子生徒がいたからだ。




「燐…あの中のどいつが北瀬麻耶だ?」




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