†君、男~Memory.. limit of grief~





「あっめぐ!
 ケーキ食べるー?」


「ケーキ?」


生徒会室に戻ってきた恵。
万里と亜衣が増えていた。


「静沢先輩が買ってくれたの。
 めぐは何がいい?」


箱を恵に差し出し選ばせる。
燐と慎はすでに選んで食べていた。


「…じゃぁコレ」


そう言ってモンブランを指差す。
「OK!」と万里は微笑み、
お皿に移す。



「レイン…」


「どうした?」


椅子に座ろうとする恵に燐は
心配そうに声をかけた。
けれど恵はいつもと変わらない。


「あっ…何でもない」


「変な奴だな」クスッと笑って
フォークを手にする。



『信じる事すら出来ない』


そうさせたのは確実に私だ。
だから私は探す。


どんなに傷ついても見つけ出す。



犯した罪は、ちゃんと償う。



「…万里」


「んー?」


ケーキを口に放り込み、
幸せそうに食べる万里。
刹那にして曇る。


「2年6組の北瀬麻耶について、
 調べてもらいたい」


そう言ってクラス名簿を差し出し
万里に鋭い視線を送った。


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