†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「あっめぐ!
ケーキ食べるー?」
「ケーキ?」
生徒会室に戻ってきた恵。
万里と亜衣が増えていた。
「静沢先輩が買ってくれたの。
めぐは何がいい?」
箱を恵に差し出し選ばせる。
燐と慎はすでに選んで食べていた。
「…じゃぁコレ」
そう言ってモンブランを指差す。
「OK!」と万里は微笑み、
お皿に移す。
「レイン…」
「どうした?」
椅子に座ろうとする恵に燐は
心配そうに声をかけた。
けれど恵はいつもと変わらない。
「あっ…何でもない」
「変な奴だな」クスッと笑って
フォークを手にする。
『信じる事すら出来ない』
そうさせたのは確実に私だ。
だから私は探す。
どんなに傷ついても見つけ出す。
犯した罪は、ちゃんと償う。
「…万里」
「んー?」
ケーキを口に放り込み、
幸せそうに食べる万里。
刹那にして曇る。
「2年6組の北瀬麻耶について、
調べてもらいたい」
そう言ってクラス名簿を差し出し
万里に鋭い視線を送った。