†君、男~Memory.. limit of grief~
「北瀬麻耶。血液型Bで
誕生日は2月5日。
趣味は写真集め、好みの男性は爽やか系。
父親は弁護士だって」
「弁護士!?」
慎は大声を出して驚く。
耳まで響いてくる声だ。
「ふーん…万里にしては
珍しく情報少ないね」
万里が調べた資料を
澄ました表情で見る。
立っていた万里はため息をついて椅子に腰をかけた。
「それがさ―…
いつもならもっと情報取れるんだけど、
この子なかなか難しいんだよ」
「難しい?」燐が尋ねる。
「そう!いつもなら簡単に手に入る
血液型とかの情報でさえ
ちょっと手間取っちゃって」
お手上げのポーズをとり呆れる。
恵は資料を机に置き、
手を組む。
「まぁいい…。
ありがと、万里。十分だ」
そう言って立ち上がり
棚から自分を靴を取る。
「何処か行くの?」
「ちょっと見回り…」
振り返ることなく恵はそのまま
生徒会室を後にした。
残された燐、万里、慎は
再び資料に目を通す。
「でも珍し。万里が
てこずるなんて」
「うん…何か負けた気分」
「そんなに板谷は情報収集が
得意なのか?」
慎の質問に二人は目を丸くする。
え?と慌てる慎に二人は笑った。
「都宮先輩知らないんですか?
万里の天才的情報集め」
「任せてくださいよ!」
自信満々に言う万里に、
慎はジーっと見る。
「北瀬さんの情報が集まらなかったのは、
何もなかったからかもしれないし、
あるかもしれない。
板谷がどんなに頑張っても
集められない物が…」
「え―…?それって…」
慎の頼みは二人は
顔を見合わせ唖然となる。