†君、男~Memory.. limit of grief~

「レイン、結菜、今日は
 中庭でお昼食べようよ!」


「そうだね、今日は天気もいいし」


晴れ晴れとした空。快晴だ。
3人はお弁当を持って
中庭のベンチに座る。



「あーあー…体育祭嫌だな」結菜が呟く。


「えっ何で?楽しいじゃんか」


「うち走るの嫌いなんだよ。遅いから」


「遅くても関係ないって。
 楽しめればそれでいいんだから」


浮かない顔をして
結菜は食事を取る。
恵はずーっと空を眺めていた。
それに気づいた朱音。


「どうしたの?
 何か空にある?」と尋ねる。


「ううん…ちょっと
 みとれてただけ」


「あっ私もそんな時ある。
 でもそういう時って
 よく昔のこと思い出すんだよね」


「昔のこと?」


「うちもある!
 夕日とかもあるなー。
 夕日なんか特に、
 恋してた時とか思い出すよ」


「そうそう!」と、朱音と結菜は盛り上がる。
そんな二人を見て恵は
ふと考えた。


「レインは恋してた?」


「えっ」


「あっうちも聞きたい」


みんな恵を見つめる。
恵は一回目を瞑って答えた。



「したよ…雨の中で」



そう・・・


私の恋は「さよなら」だ―――


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