†君、男~Memory.. limit of grief~
燐が言いかけようとしたとき
麻耶は何かを見つけたのか
目を輝かせる。
燐はその方向に目をやり、
嫌な予感が頭を駆け巡った。
「燐ちゃん、予想的中!
私の好きな人…佐伯先生」
「なっ…でも!」
「何か不満?」
恐ろしい目。
燐は1歩引いてしまった。
「もしかして蒼井さんも
先生が好きだったりして」
「!…どうしてそう思うの?」
「見てる時の目が違うから。
私って観察力いいかもね!
まっ宣戦布告は本人に言うから
応援してね!」
手を振って麻耶は
優介のとこへ駈けて行った。
「 」
佐伯先生が、微笑んでる――…
冷静な上、本当の姿を見せない人。
そう万里が前に一度言っていた。
それはレインが佐伯先生を
好きだと知った後…
私もあまり笑っているところなんて
見たことがない。
なのに―――…
「そんなの…駄目だよ」
小声で言う燐の声は
風だけが聞いていた…。