†君、男~Memory.. limit of grief~
「レイン…いいの?」
「…北瀬麻耶のことだろう?
誰だってそんな気持ちぐらい持つ。
仕方のないことだ」
帰り道。いつもより早く歩く恵に
燐は必死で着いていく。
信号でやっと止まり、
燐は恵を見た。
「 」
夕方、太陽に光が当たり
恵が泣いているように見える…。
「私は相当嫉妬するみたいだな。
こんなんじゃ身が持たない」
「…それだけ好きだって事だもん。
あんな女に負けちゃ駄目だよ」
「…最近は、いつも悪い方向に考える。
むしろずっと前から。
優兄を思えば思うほど、こんな状況に
出くわした時、苦しくなる」
赤から青に変わった信号。
恵と燐は歩き出す。
燐は恵の後姿を見て
目が霞んだ。