†君、男~Memory.. limit of grief~
「雨の中の恋?」


「何かすごい切なそう…」


「教えて教えて!」


恵の腕を揺さぶり、
甘えるように訊く朱音。
恵はクスっと笑ってお弁当をしまう。


「今はまだ秘密。
 私にとってはあんまり
 知られたくないんでね」



2度と語りたくなかった物語。



私にとっての終止は
自分で決めた。


けれどもそれが
確実に正しいこととは言えない。



「えーすごい気になる」


「まぁいずれ教えるから」


優しく微笑んで
恵は教室に戻っていった。


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