†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「レイン、パン買いにいこ」
「うん、ちょっと待って」
午前の授業も終わり、
それぞれ昼食をとり始める。
二人は財布を手に、食堂に向かった。
「あっレイン!」
突然後ろから飛びついてきたのは朱音だ。
「久しぶりでね!
元気してた?
体育祭まで後1週間だねー」
「まーね。朱音は相変わらずだな」
未だに恵を話そうとしない朱音に
結菜は無理やり離した。
「ところで朱音は何で
こんなとこにいるんだよ。
食堂に来たんじゃないんだろ?」
「あっそうそう!職員室に行こうと思ってたの。
佐伯先生にプリント渡しにね」
無意識のうちに恵は
朱音から目を逸らした。
恵のクラスの数学担当は
優介じゃないからだ。
更に最近あまり喋っていないため、
心が痛むことも少々あったようだ。