†君、男~Memory.. limit of grief~
「ある人も…自分も罪を
持ってるって言ってた…」
「めぐちゃんの好きな人?」
何も言わず恵は俯く。
「私の勘だけど、
その人の言う罪って
めぐちゃんに罪を作ったことじゃないかな?
…その人昔からの知り合いでしょ」
「え?」驚く恵。
どうして知っているの?と言うような表情だ。
クスっと笑って万里は続けた。
「私勘は鋭いよ。
めぐちゃんの話からして
昔からの知り合いだって思った。
本当はめぐちゃんのこと
すごい大切に思ってる。
だけど罪を作っちゃって…
それで後悔してるんじゃないかな?」
「そんなことない」
「どうして?」
優兄が私を大切に思ってる――…?
「そんなわけ…ない」
私が犯した罪が、
優兄にとっての罪?
自分が作ってしまったから?
“そんなんじゃ…ないんだ”
あの言葉からそんな考え
私の中では出てこない。
私の事なんて…
なんとも思ってない―――