†君、男~Memory.. limit of grief~






「レーイン!」


大きく手を振る燐。
燐も恵と同じ競技に出ていた。


「ねぇ、お昼一緒に食べよ?」


「ゴメン。私やる事あって」


「あー…そっか。
 なら仕方ないね」


ショボンと落ち込む燐。
二人が出た競技、150mリレーは無事に終わり
その後の競技も順調に行われた。


生徒会の役員である恵は
それ以外にも仕事があり、
持ち場につくもののボーっとするばかり。


隣にいた慎も心配そうに
その様子を見ていた。


「何かあったの?」慎は尋ねる。


「いえ…ボーっとしてただけです」


「最近はどう?
 悩み事は解決したか?」


「してません。解決どころか
 余計に悪化してますね」


「そうかー…何かそう言うのは
 スッキリさせたいよな」


「そんな望み、ありませんから」


「あんま深く考えるなよ。
 底まで行けば抜け出せなくなるから。
 まだ浅いうちなら…」


「もう抜け出せませんよ、私」


慎の言うのを遮って
恵はクスッと笑いながら言う。


その時、放送が流れた。


《只今より、昼食の
 時間なります》


「じゃぁ私行くので」


パイプ椅子から立ち上がり、
恵はあの場所へと向かった。
屋上だ…。


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