†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「レーイン!」
大きく手を振る燐。
燐も恵と同じ競技に出ていた。
「ねぇ、お昼一緒に食べよ?」
「ゴメン。私やる事あって」
「あー…そっか。
なら仕方ないね」
ショボンと落ち込む燐。
二人が出た競技、150mリレーは無事に終わり
その後の競技も順調に行われた。
生徒会の役員である恵は
それ以外にも仕事があり、
持ち場につくもののボーっとするばかり。
隣にいた慎も心配そうに
その様子を見ていた。
「何かあったの?」慎は尋ねる。
「いえ…ボーっとしてただけです」
「最近はどう?
悩み事は解決したか?」
「してません。解決どころか
余計に悪化してますね」
「そうかー…何かそう言うのは
スッキリさせたいよな」
「そんな望み、ありませんから」
「あんま深く考えるなよ。
底まで行けば抜け出せなくなるから。
まだ浅いうちなら…」
「もう抜け出せませんよ、私」
慎の言うのを遮って
恵はクスッと笑いながら言う。
その時、放送が流れた。
《只今より、昼食の
時間なります》
「じゃぁ私行くので」
パイプ椅子から立ち上がり、
恵はあの場所へと向かった。
屋上だ…。