†君、男~Memory.. limit of grief~
「レイン早く、
午後の部始るよ」
燐は恵の腕を引っ張って
クラス席まで連れて行く。
恵は今にも倒れそうなぐらい
フラフラの状態だ。
それでも燐はそうはさせまいと
急いで席に連れて行く。
結菜に事情を説明して
燐は自分のクラスへと戻っていった。
「レイン、大丈夫?」
「うん。ごめん、迷惑かけて」
「そんなの気にしてないよ。
今日は早く帰って休んだ方がいいね」
「そうする」
恵はため息をついて
椅子に深く腰をかけた。
午後の部の競技は得点が高い。
応援にも熱が入っていた。
旗を振る人、大声で「頑張れ」と言う人。
無論恵達のクラスも一生懸命
応援をしていたが、恵は
座ったまま競技をただただ観覧するだけだった。
「後、一つで終わりかー…。
日陰に行かなくても大丈夫?」
「平気だ、どうせ後一つだろ?」
結菜は恵を心配して言うが
それを拒否する。
恵の顔色からして
無理してるとしか思えないものだった。
黙って結菜は競技を見ることにした。