†君、男~Memory.. limit of grief~
「レインどうしたの?
固まっちゃって」
恵の顔の前で手を降る朱音。
恵はハッと我に返り苦笑いをした。
「何か知ってるの?
佐伯先生の恋について」
「そんなの知るわけだろ。
本人に直接聞いた方が早い」
「やっぱそうだよねー」
残念そうな顔をして
しょぼくれる朱音。
恵の心臓は高鳴るばかりだ。
恋―――…
優兄は今、
恋をしているのだろうか。
私ね…
今は貴方と普通に
接しているかもしれない。
けど、今でも私は海の底…
未だに忘れられない
記憶を握り締めてるの――
散らばった粉を、
見つからない粉を
今も探しているのよ――…
会いたいと願えば願うほど
それは叶わなかった。