†君、男~Memory.. limit of grief~







「じゃぁ今日はこれで終わり。
 お疲れ様ー」


亜衣の後に他の人達も
「お疲れ様」と口にする。


生徒会室で少しの話し合いが
行われていたのだ。
そこに燐の姿はなかった。


何故なら体育館でやっている
打ち上げに参加していたから。



「燐ちゃん羨ましいなー。
 私なんて結局3年間1回も
 打ち上げに参加出来なかったのに」


亜衣は残念そうに言う。
横で千佳も「私もだって」と笑っていた。

 

「先生もそっち行っちゃったしね。
 うち等に任せやがって」


ぶつぶつ文句を言う千佳。


「まぁそんな仕事もないし。
 たまには休ませた方がいいんじゃない?」


千佳と亜衣はそんな会話をしながら
恵達に鍵を任せて先に帰っていく。
万里も帰る準備をしていた。


「めぐちゃんまだ帰らないの?」


「私も早く帰りたいが
 これやってからだな」


持っているプリントを
ヒラヒラと振りながら万里に見せ
「あ…」と万里は苦笑いをする。


「いいよ、先輩も先に帰ったし。
 今日中の仕事じゃないけど
 早めにやっといた方がいいだろ。
 先に帰ってていいよ。
 鍵は私が閉めるから」


「ごめん!ありがとめぐちゃん」


手を合わせて謝る万里。
ハイハイと返事をして万里とは
目を合わさなかった。


少し帰るのをためらった万里だが
もう一度謝って帰って行く。


残った恵は一人作業を進めた。





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