†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「今日で先輩方とお別れかー…」
「…」
7月中旬。
終業式を前に生徒会の先輩方が
退任することになった。
燐と学校に行く途中でその話になり、
二人はここ1年について深く話をしていた。
燐にとっては時が
立つのは怖いらしい。
それだけ何かを失ってると、
そう感じてしまうからだそうだ。
恵はその言葉に共感する。
時が立つごとに得る物と
失う物の差は大きいかもしれない。
どちらが自分にとって幸せなのか…
人それぞれだろうが、恵は
失う事の方が多いと言う。
それが現実なのだろうか…。