†君、男~Memory.. limit of grief~
その日はすぐ終わり、
恵も優介に声をかけようとしたが
クラスの子に話しかけられ
動こうにも動けない状態になっていた。


「名前、何ていうの?」


「蒼井恵」


「私は、森村朱音(もりむら あかね)。
 ヨロシクネ~」


「うちは入谷結菜(いりや ゆいな)。
 よろしく、何て呼んだらいい?
 うちは結菜でいいよ」


朱音は活発的な女の子。
お人形さんみたいに可愛かった。


結菜は大人びた子だ。
二人とも元気がよかった。


「そうだな―…
 今までは蒼井とか、めぐとか
 レインも多かったかな」


「レイン?」結菜が訊く。


「蒼井の“あ”と、
 恵の“め”をとって
 雨でしょ?だからレイン」


「へぇーすごい。
 じゃそう呼ぼうかな」


「私も朱音って呼んでね」


朱音と結菜は
メールアドレスを交換した後
帰っていった。
用事があると言って残った恵は
一人、人を探しに駆けていった。
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