†君、男~Memory.. limit of grief~







午前11時前。


「お泊りだー!」


と、言うわけでやってきた8月15日。
2年の生徒会役員が集まって行われる
2学期に向けての作業。


照りつける太陽は見るからに暑い。
つねに水などを持っておかないと
倒れそうなぐらいだった。


「で、何するんですか?」


浮かれる万里をよそに
恵はさっさと終わらせたい様子。
優介はみんなにプリントを配る。


恵は呟いた。


「配布表…?」


「…ちょっと待ってよ、
 これ全部私らがするの?」


表情が曇り始めた燐。
優介は黙って頷いた。
一同は悲鳴を上げる。
和馬は怒鳴った。


「ありえねーだろこの量!
 聞いてたのと全然ちがうじゃねーか」


ぎっしり文字で埋め尽くされた
1枚の紙切れ。
それは不幸を呼び起こす紙だった。


優介は説明をし始める。


「まず蒼井、安井、須藤は
 本館から3号館の教室を全て点検。
 詳しい事はそこに書いてあるが、
 隅々まで見るように。机の位置とか
 電気は全部ちゃんと点くかとか、
 机を雑巾で拭いたりなどなど」


言われた3人は優介を睨む。
そんなことは気にせず優介は続けた。


「宮根はグラウンドの
 整備と草むしり」


「うわー…一番キツイね、それ」


燐の一言で(宮根)和馬は
遠い目になる。もう諦めた姿だ。


「最後に板谷は今後の予算案と
 行事についてまとめてもらう。
 後、新しい生徒会役員の名簿と
 登校日と始業式に配るプリントを作るとともにコピー」


「万里が一番らくそうだねー」


「そうでもない。いつも終わるのが
 最後になるのはこの仕事だ」


少し期待をした万里は落ち込む。
優介はニヤッと笑って
「じゃ、作業お願いします」と言った。


それぞれ自分の持ち場について
炎天下の中作業はスタートした。



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