†君、男~Memory.. limit of grief~
「じゃ―…3号館レインお願いします」
「は?」
「だって3号館一番教室多いんだもん!
だから、私らは1号館2号館どっちかに
分かれて本館は終わってから須藤と
二人でするから!お願い」
恵はため息をつきプリントに目を通す。
「分かった」と言って3号館に向かった。
「あっ…ありがとうレイン!」
そう大声で言うものの
恵にそれが聞こえていたのか、
二人には分からなかった。
「40分か…」
時間を確認して教室を見渡す。
恵は1つの教室にかかる時間を図っていた。
「暑い…」
持っていたタオルで汗を拭い
隣の教室に向かった。
“少しは夕日、好きになっただろ?”
優兄にそう言われてから
夕日を見る回数が増えた。
夕日に対する気持ちも…
少しずつ変わっていってる気がする。
この気持ちがずっと続けば、
そう願いたい―――…