†君、男~Memory.. limit of grief~
「蒼井先輩」
始業式も終わり教室に向かっていた
恵と燐の下に健吾は走ってくる。
満面の笑みだった。
「やっぱ会長は蒼井先輩ですね。
まぁ俺も副会長になったわけですから
一生懸命頑張りますんで
よろしくお願いします」
恵と健吾はお互いに顔を見合わせ
恵は冷たい笑みを浮かべた。
すると突然健吾に飛びつく
一人の女の子がやってきた。
「蒼井先輩!初めまして。
さっき自己紹介されました
生徒会広報美月由姫です!
うわー本物だ」
目を輝かせる。
恵は呆気にとられていた。
由姫は健吾を横に突き飛ばし
恵の手を掴んだ。
「蒼井先輩に憧れて
ここに来たんです!
よろしくお願いしますね」
「馴れ馴れしいぞお前」
「うるさい、健吾には関係ないでしょ」
どこか親しそうな二人。
燐はニヤリと笑って言った。
「二人は付き合ってるの?」
「あっ分かりますか?」
うん、と燐は頷き羨ましそうに二人を見た。
一方の恵は顔色一つ変えず
その場から立ち去っていく。
慌てて追いかけた燐の様子を見て
由姫は残念そうにしていた。