†君、男~Memory.. limit of grief~




「ちょっと恵、せっかく
 1年が話しかけてきたのに」


「別に私が教室に戻ろうといいことだろ」


「まぁ…そりゃそうだけど。
 何かレインあの泊まり以来
 ちょっと寂しそうに見えたから…」


と恵は急に立ち止まり
燐を睨みつけた。


「燐が気にする事じゃない」


燐を置いて再び歩き出す。
言葉を詰まらせ燐は立ちすくむだけだった。




“私が誰かを憎まなくなるなんて、
 きっと無理だよ――…”


あんな事を言ったせいか、
最近頭の中でいつも何かが過ぎる。


雨の音と共に―――…



これは予言だ。



だから燐に知られては
駄目なんだ…絶対に。




< 211 / 482 >

この作品をシェア

pagetop