†君、男~Memory.. limit of grief~
「ちょっと恵、せっかく
1年が話しかけてきたのに」
「別に私が教室に戻ろうといいことだろ」
「まぁ…そりゃそうだけど。
何かレインあの泊まり以来
ちょっと寂しそうに見えたから…」
と恵は急に立ち止まり
燐を睨みつけた。
「燐が気にする事じゃない」
燐を置いて再び歩き出す。
言葉を詰まらせ燐は立ちすくむだけだった。
“私が誰かを憎まなくなるなんて、
きっと無理だよ――…”
あんな事を言ったせいか、
最近頭の中でいつも何かが過ぎる。
雨の音と共に―――…
これは予言だ。
だから燐に知られては
駄目なんだ…絶対に。