†君、男~Memory.. limit of grief~

「万里!」


放課後、生徒会室に向かっていた万里を
燐は呼び止める。
顔をしかめながら話し始めた。


「どうして北瀬さんの事
 調べるのに手間取ったの?」


「それが…あの子の情報が
 全然なくて…」


燐は首を傾げる。


「普通人って調べれば調べるほど
 その人のことを分かってくでしょ?
 でもこの子の場合知れば謎が
 深まってくばっかで…。
 ガードがかかってるような…」


万里はそこで言うのを止めた。
燐の表情は曇る。
ふと横を見ると中庭で話す
麻耶と優介がいた。


「…」


燐はじっとその二人を見て
何かを決意したかのように強い目を向けた。


優介が何処かに行ったのを確認して
燐は麻耶のもとへ駈けて行く。



「北瀬さん、ちょっといいかな?」


「何?」


麻耶は微笑み燐に近づく。
燐は息を呑み口を開いた。


「北瀬さんが知ってるレインの事、
 教えてほしいの」


麻耶はクスッと笑う。
けれどそれは呆れているかのようにも見えた。


「知りたかったら本人に
 聞いたらいいじゃない。
 もっとも、教えてくれるわけないと思うけど…」


「――――…」




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