†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「レイン写真撮ろうよ!」
結菜は手招きをして恵を呼ぶ。
水那高校修学旅行。
着いた場所はブリスベンだった。
「にしてもやっぱ
日本とは大違いだよね」
「うん」
団体の行動の中恵は浮かない様子。
先日燐との会話でどうも
ぎこちなくなってしまったのだ。
結菜は何も言わなかった。
それしか出来なかったのだ…。
「レイン、自由行動の時
何処か見たいとこある?」
「ん――…」
パンフレットに目を通し
何処か良い場所がないか探す。
そんな時横から恵にとって
目障りな声が聞こえてきた。
「佐伯先生、一緒に回りましょうよ」
「…」
見たくなくても目に入ってくる存在。
麻耶は優介の服を引っ張りながら
まっすぐ指を指していた。
恵はその場所を後にして
燐の所へと向かっていった。