†君、男~Memory.. limit of grief~


「燐…ちょっと話があるんだけど」


「…ッうん」


追いかけた結菜はその光景を見て
別のところへと行ってしまう。
その場所にいてはいけないと察知したからだろう。
そんな様子をたまたま見かけた朱音は
結菜を追いかけた。


恵と燐も輪から少し離れた場所に行き、
静かさその場所で口を開く


「私には…無理なのかもしれない。
 あの二人を見るのはもう嫌だ。
 いっその事、私が離れれば…」


「駄目だよ!」


燐は歯をかみ締め
わなわなと身をふるわせる。
恵は目を丸くした。


「本当に好きだからそういうこと言うんでしょ?
 体だけここに置いて、心だけ離れてくつもり?
 私言ったじゃんか。
 ずっと想ってきた気持ちは
 簡単に壊しちゃいけないって!
 少しでも可能性あるなら頑張ろうよ」


「燐――…」


燐は優しく微笑み
恵の手をそっと掴む。


「あんな女にレインが
 負けるわけないじゃん!」


「ありがと…」


どうしていつも逃げる私を、
燐は止めてくれるの――…?


あんな事言ったのに…。



< 219 / 482 >

この作品をシェア

pagetop