†君、男~Memory.. limit of grief~
修学旅行3日目の夜。
恵は一人ホテルのお土産屋に寄っていた。
「あ…」
エレベータに乗る直前だった。
一瞬だけ振り振り返り、
恵の視界に優介が入ってきた。
テラスで一人夜空を眺めていた。
「優兄…?」
「おぉ、レインか。
どうした?」
「別にこれといって用はないが…」
気まずくなる二人。
恵は優介の横に行き
自動販売機で買ってきたジュースを開けた。
「修学旅行から帰ってきたら
すぐ文化祭だな」
「うん…。今年もライブとは、
もう恒例になってる」
恵は不満そうに苦笑いを浮かべた。
優介も笑う。
「優兄は…誰かに自分のこと
想われるのはどう思う?」
「ん―…人によって違う」
優介は柱にもたれ
顔だけ夜空の方を向ける。
恵も優介と同じ方を向いた。