†君、男~Memory.. limit of grief~

霜月来る前の不安





「せんぱーい!コレどこですか?」


「一番上の棚の左から3つ目。
 それは向こうのテーブルの上」


修学旅行から帰ってきた恵達は
休むひまもなく大忙しだった。


文化祭1週間前となった今、
生徒会室は荷物で溢れていた。


荷物の整理と舞台の準備、
あっという間に時間は過ぎていく。
一息ついた頃は7時前だった。



「疲れた…」


燐は唸る。
他の人達もぐったりしている。
その点恵に疲れた様子は見られない。
いつもと変わらない表情だった。


「レイン疲れてないの?」


「別に。……?」


窓から外を眺めていた恵は
ふと下に目を向けた時麻耶の姿を見つける。
麻耶は普段なら決して見ることのない
真剣な目でこちらを見ていた。


窓を開けようと鍵に手を差し伸べた時
麻耶は走っていってしまった。


不快な気分になるものの
カーテンを閉めて椅子に座る。


けれど、どうもあの目が
気になって仕方がなかった…。





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