†君、男~Memory.. limit of grief~
「さっき家に電話したらいなかったから
 留守電だけ残してきた。
 今日はここでゆっくり休め」


「あまりの状況の変化に
 話がついていけない」


真顔で言う恵に優介は再び笑う。
さすがの恵も怒った。


「何が可笑しい。
 本はと言えば――…」


「北瀬のところに行ったから」


「え…?」


本当に状況の変化についていけない恵。
目を丸くして優介を見た。
さっきまで笑っていたのとは一変して
悲しそうな表情で優介は恵の頭を抑えた。


「まさか風邪引いてるとは思ってなかったから…。 
 だからそのお詫びとして
 今日は俺がレインを看護する」


そう言って優介は持ってきた
おかゆをスプーンですくい
恵に差し出した。


「もうすぐ文化祭なんだから
 早く元気になれよ?」


「…」


その笑顔に恵は何も言えなくなる。
大人しくする事にした。



その夜、恵が優介の別途を使っているため
優介はリビングで寝ていた。
一人恵は天井を見る。



あまりにも突然に来た優介の家。
けれど内心嬉しかったに違いない。


しかし心の中では
麻耶との事が気が気でない。



あの時見た目といい、
本当に何を考えているか
分からない子だ…と恵はそう思いながら眠りにつき、
次の日無事学校に行った。


誕生日プレゼントをテーブルに置いて…。


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