†君、男~Memory.. limit of grief~



文化祭(校内祭)が始る
前日の金曜日。


この日も生徒会は大忙し。
帰る時間も7時半を過ぎていた。


最後まで残っていたのは恵と燐の二人。
最終確認と後片付けをしていたのだ。
ふと恵は動きを止めある意を決して燐に話しかけた。


「燐…この間優兄と北瀬さんが
 話しているとこを見て、やっぱり辛いと思った」


「レイン…」


「私ずっと前から優兄の知り合いで
 誰よりも想ってる…なのに
 一度もその想いが届いた事はない。
 それが…辛いんだ」


「     」


恵はその場に膝を突く。
大声で叫んだ。


「どうしてこんなにも想ってるのに
 叶わないかが分からない…!
 好きなのに…誰よりも好きなのに!」


「レイン!」


燐は恵の前に行って座り、肩を掴んだ。


生徒会室の前で立ちすくんでいた優介。
早く帰れという事を伝えに来た優介は
たまたま恵が叫んでいるのが聞こえ、動けずにいた。


「こんなにも人を好きになることなんてなかった。
 人の感情なんて分からない。
 けど…優兄に対する気持ちだけは分かる。
 どうしようもないぐらい好きだって…。
 探したいんだ…!」


ついこの間優兄の家に行って、
少しだけ優兄の生活を見れた気がした。


そんな姿を見れば見るほど
心が貴方に向かってる。


近づけば貴方の過去を知るかもかしれない。
けれど…気持ちだけは
抑えられないと今になって分かった。



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