†君、男~Memory.. limit of grief~
「あっレイン、どこ行ってたの?」
「校舎の裏」
「えっまさか告白された!?」
朱音と結菜が恵の顔を覗き込む。
驚いたのまるわかりだ。
誰に誰にと恵を揺さぶる。
「同じクラスの井上に。
断ったけどね」
「え―…断ったんだ。
井上君かっこいいのに」
「好きでもない人と付き合うつもりはない。
それに今はそんな気分でもないし」
キツイ言葉の連発。
二人のテンションは一気に下がる。
恵は朱音の肩を叩き
「リレー行くよ」と引っ張っていった。
『好きです』
そんな言葉…重すぎる。
重すぎるのに―――…
私は、今もまだ手放せない。
「わーい!2組総合3位だー」
体育祭も終わり、
教室に戻った朱音が
飛び跳ねて喜んでいる。
他のクラスの人も盛り上がっていた。
「知ってる?この学校
体育祭で総合3位以内に入ると
この後体育館で食事がもらえるっての」
「えっ何それ!?」真っ先に飛びつく朱音。
「まぁいわゆる打ち上げみたいなやつ」
ある子の発言で
クラスはさらに盛り上がっていた。
しかしそこに恵の姿はない。
「あれ、レインは?」結菜が気づく。
「えっさっきまでいたのに…」