†君、男~Memory.. limit of grief~



「体育館、入らないんですか?」


「あぁ…」


体育館裏。
壁にもたれて座っている優介に
どこから抜け出してきたのか、
麻耶が声をかけてきた。


「何でこんなとこいるんだ?
 早く戻れよ」


「佐伯先生…」


優介は麻耶の顔を見る。
目が潤んでいた…。


「先生も…一歩踏み出さなきゃ
 駄目だと思います。
 このままじゃあの子が…」
 

言葉を濁した言い方。
優介はまた前を向いた。


「お前…一体何者だよ」


「…明日、分かりますよ」


「え?」


そう言い麻耶は戻っていった。
優介は唖然と立ちすくんでいた。


< 233 / 482 >

この作品をシェア

pagetop