†君、男~Memory.. limit of grief~
「体育館、入らないんですか?」
「あぁ…」
体育館裏。
壁にもたれて座っている優介に
どこから抜け出してきたのか、
麻耶が声をかけてきた。
「何でこんなとこいるんだ?
早く戻れよ」
「佐伯先生…」
優介は麻耶の顔を見る。
目が潤んでいた…。
「先生も…一歩踏み出さなきゃ
駄目だと思います。
このままじゃあの子が…」
言葉を濁した言い方。
優介はまた前を向いた。
「お前…一体何者だよ」
「…明日、分かりますよ」
「え?」
そう言い麻耶は戻っていった。
優介は唖然と立ちすくんでいた。