†君、男~Memory.. limit of grief~
「やっぱりここか」
屋上の階段。
そこで恵は俯いて座っていた。
「優兄、どうしてここに?」
「レインが俺を探してるって
安井が伝えに来たから」
「燐が…?」
優介は恵の横を通り
屋上へ行く扉の鍵を開ける。
「行きたいんだろ?」
「えっ……うん」
何で私、いつもここに
足を踏み入れるんだろ…
何かに不安になった時、
ここなら変えてくれると思うから?
私の世界に少しでも
光を与えてくれると信じてるから?
黒で埋め尽くされた心でさえ
貴方なら解きほぐしてくれるから―――