†君、男~Memory.. limit of grief~
「総合3位以内に入ったものに
打ち上げがあるなんて聞いてませんよ。
教室に残れないじゃないですか」
「悪い、そっかり忘れてて」
一方恵みは優介に連れられて
ある場所に向かっていた。
「いい物っていうのは、“ここ”」
「…ここって
屋上へ行く扉?」
「正解。一般の生徒は
立ち入り禁止だからな。
俺は特別鍵を持ってるんで」
優介は鍵を開け、扉を開く。
開いた瞬間、風が吹き込んできた。
「 」
まるで空を飛んでいるようだった。
美麗なるその場所は、
冷たく風が体を透き通る。
「綺麗…」恵は小声で呟く。
「すごいだろ?
水那ならではの特別席だからなー」
「何で私をここに連れてきたの」
「…元気なさそうだったから。
昔からレインは顔に出るタイプだろ?」
「…ッ」
どうしてこんな場所、
私を連れてきたの―――…
「そういえば昼、井上に呼ばれてたな。
告白でもされた…」
「いらない」
「 」
「私はそんな言葉いらない。
貴方を見つけたいだけなの」
強く風が吹いた―――…