†君、男~Memory.. limit of grief~



「誰…?」


そう呟く恵の横で
優介は驚いた表情でその人を見ていた。
恵が聞いても優介には
聞こえていなかった。


「恵…か?」


その男性はそう言う。


「そうですけど…。
 どこかでお会いした事ありますか?」


「会ったことはない。
 けれど…」


優介は俯いて歯をかみ締めていた。
恵はその人に警戒心を抱く。


優介は顔をあげ、
ゆっくりと口を開いた。


「どうして…ここにいるんですか?」


「優介君か。久しぶりだね。
 今まで恵のことありがとう」


「え―――…。
 ちょっと、それどういうこと?」


「…ッ」


恵から目を逸らす。
強く手を握り締めた状態で
優介の口から信じられない言葉が出た。


「宮原精一…
 レインの、実の父親だ…」


「       」





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