†君、男~Memory.. limit of grief~



『レインは裏切ってなんかない。
 全て俺がそうさせたんだ――…。
 俺がレインを裏切った』



「やめ…てよ…。
 嘘でしょう…ッ」


「…ッレイン」


「嘘だって、
 全部違うって言ってよ…!!」


「…!」


“そんなんじゃ…ないんだ”


「どうして…?
 どうしてよ…ッ優兄」


恵は泣き崩れる。
頭の中が壊れそうなぐらい
混乱していた。


優介は恵と視線を合わせ、
肩を掴む。


真剣な表情で恵を見つめた。
恵は身体をひくひくとさせ、
呼吸が乱れていた。


優介の口がゆっくり動く。


「今から俺の言う事、
 最後まで聞いててほしい。
 俺の過去も…話すから」


「      」


震える口。
止まる事のない涙。
恵は優介の目から一度も
逸らそうとはせず、口を動かす。


「私を突き放そうとした理由も…
 貴方の寂しさの気持ちが
 憎しみに変わった事も…?」


「…あぁ」



私は、貴方の過去を知る。


その時…私の心は何処にあるの?



貴方の事を知って、近づいて、
そこに待つ私の気持ちは
こんなにも残酷なものだった――…?
 




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