†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
当時16歳だった俺に、
突然親から子供の面倒を見てほしいと言われた。
正直言ってやる気なんて全然なかった。
勉強も遊びも、全てにおいて充実させたかった時に
横から邪魔をされたくなかったから…。
けれど、その子の事情…施設の子だと
知った時、俺の考えは一変した。
初めて会った時のその子の目は
心を打ち付けられるような強い目だった。
でも本当は強く行こうと思った弱い心の
現われだったことを知った時
俺の考えは再び変わった。
純粋な色を持つこんな子が、
どれほど今までに辛い事を経験したのか…
考えただけで痛々しかった。
守ろう。そう思ってた。
ただ…それは時が経つにつれて
だんだん気持ちが揺らいできたんだ。
レインが大人になるにつれて
俺から離れていく、そんな事を
考えれば考えるほど俺自信、
自分から離れていこうと思い始めてた。