†君、男~Memory.. limit of grief~



そうだ…あの声は
全てあの女の声だったんだ―――


“めぐみ、ごめんなさい…ごめんなさい…!
 いつか必ず―――…


必ず迎えに行くからね”



私を捨てていった親――…



私を、施設の前に
置いていった親―――…



“宮原レイン”―――――



「俺がレインから離れればいいんだと思った時、
 ふと精一さんの言葉を思い出して
 こんなんじゃ駄目だと心では
 分かってた…けど時間だけには
 やっぱ勝てなかった」



俺が引っ越す前、
精一さんに会ったんだ。


その時言われた一言で
俺の悩んでた事が解決した。


「…何て言われたの?」



「宮原レインさん…
 昏睡状態なんだよ。
 俺が引っ越す半年前ぐらいから」


「      」


恵の涙もようやく止まり、
まるで体内の水を大半消費したかのように
ぐったりと壁にもたれかかる。


「突然倒れて、今も目を覚ましてないらしい。
 北瀬がそう教えてくれた」


「北瀬さんが?」


「あいつは宮原レインさんの
 姉の子供らしいんだ」



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