†君、男~Memory.. limit of grief~


だから北瀬さんは
優兄に近づいてたんだ…


私と関わりがあって、
私の秘密を知ってるから…。



「昏睡状態を聞いたとき、
 俺はレインの傍にいたら駄目だと
 そうハッキリと思った。
 秘密を知ってる俺の傍にいれば
 いずれこの事も知られてしまう。
 だから無理やりにでも離そうとした…」


「だから…私に…ッ」


私が離れていく…
その寂しさが自分に対する
憎しみに変わったのね…。



貴方は私の事考えてくれてたのに、
私は貴方に何も出来なかった…!
 

「俺は最悪な人間だな。
 レインの気持ちを踏みにじるような
 事ばかりしてきてる。
 あの雨の日、さよならを告げた日、
 ほんの少しだけ本当にレインを
 裏切ったかもしれない…
 あの時、少しでもレインの声に
 気づいていれば…」


「――――…」



頭が混乱するよ…。


いっぺんに真実が分かったんだから。



「レイン!?」


恵は倒れる。
額に手を当てるととても熱く、
顔も赤くなっていた。



優兄―――…



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