†君、男~Memory.. limit of grief~
「えー?」
人差し指を頬に当て
誤魔化す麻耶。
恵はつい怒鳴ってしまう。
「おい!」
「ハハハ、冗談冗談。
まっ少しは気になってたけど、
蒼井さんしか駄目だよ、あの人は」
「何でそんなこと…」
麻耶は飛ぶようにして立ち上がり、
満面の笑みで振り返った。
「知ってる?木は何度切り落とされたって
小さな小さな命ある限りまた大きくなるんだよ。
まるで蒼井さんみたいに!」
「私みたいに…?」首をかしげて恵も立ち上がる。
麻耶は得意げに話し始めた。
「何度も何度も苦しい思いしても
好きでい続けるその強さ、
いつかきっと花が咲く…。
友達との関係も…ね?」
「え!?」
麻耶はバイバイと言って手を振り
どこか別のところへ駈けて行った。
一人になった恵は再びベンチに座る。