†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「朱音、結菜」
次の日の学校。10月最後の日。
朝早くから教室の前で
二人が来るのを待っていた恵。
一緒に登校して来た朱音と結菜は
恵がいたことに戸惑いを隠せなかった。
「…話がある」
朱音と結菜は顔を見合わせ、
少し拒んだが恵の後についていった。
向かった先は中庭。
恵は話し始める。
「私が…自分の事を話さなかったのは、
怖かったからなんだ。
私の事知って離れていくんではないかって…」
「どうして?私等がレインから
離れていくわけないじゃん!」
結菜は言う。横にいた朱音も続けて言う。
「そうだよ!それを受け止めてこそ
本当の友達だよ?
私等は力になりたいの…。
少しでもレインの役に立ちたいだけなの」
「…うん」
恵は目を瞑り、全てを話し始めた。
燐達に言ったのと全く同じ事を。
「…ッ」
全てを話し終えた時
朱音の目からは涙が何粒も
零れ落ちていた。
「そんなことがあったなんて…!」
「 」
朱音は恵に飛びつく。
「辛かったよね?苦しかったよね…!
でももう安心して。
ゆっくり休んでいいんだよ?」
「…ッ」