†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「優介君は元気にしてる?」
「えっあっ…うん、まぁ」
11月も半ばになり、恵はこの日
(実の親がいる)宮原家を訪れていた。
レイン(母親)の部屋で紅茶を飲みながら
くつろぐ恵。しかし部屋の広さは身を縮ませていた。
「水那高校で教師しているのよね?
お父さんから聞いたの」
「うん、数学の担当。
生徒会の取り締まりもね」
恵はそう言って紅茶を全て飲むと
嬉しそうに微笑むレインの姿が
目に映った。恵は訊く。
「何?」
「ううん。何か恵がすごい
安らいだ表情をしてるなと思って」