†君、男~Memory.. limit of grief~
「私が?…何で?」
レインは目を瞑り答えた。
「優介君の事好きなんでしょ?」
「えっ!?」
急な質問に恵の声は裏返った。
レインは立ち上がりCDが並んだ棚から
1枚のCD取り、恵に差し出した。
「これ、一度聞いてみて。
気に入ると思うの。
少しテンポが速い曲なんだけど、
とても心に残る歌詞だと思うわ」
「ありがと…」
恵はそのCDを受け取りタイトルを見る。
『影』と書かれていた。
レインは寂しそうに
「聞いたら分かるわその意味」と答えた。
恵はCDを鞄にしまう。
「そういえばクリスマスの日空いてるかしら?
家でパーティーをしようと思うの。
ただ…おじい様もいて…」
「―――…」
私を、汚らわしい者と見た人だ。
私の事など聞きたくもないだろう…。
ましてやもし会うことになれば――
「恵…あまりおじい様の事悪く思わないで。
おじい様だって自分が何をしたかぐらい分かっているわ。
…お金が目当てだと思いたくなかったのよ。
どんなに優しい人でも…。
私のお母さんがそうだったように…」