†君、男~Memory.. limit of grief~





「先輩!もうすぐクリスマスですよ」


そう手を合わせて嬉しそうに言うのは由姫。


毎週月曜日に必ず行われる
生徒会会議に集まる役員の人達。
今日来ていないのは朱鷺と夏奈の二人だけだ。


会議、と言うよりも
間近に迫ったクリスマスの話題の方が
圧倒的だった。


「あーあークリスマスかー…
 私なんか普通の日だし」


ハッと鼻で笑う燐。
横で私もだよ、と言いながら
燐の肩を叩く万里がいた。


「先輩!まだ諦めちゃ駄目ですよ。
 まだ2週間残ってます」


そう言ってカレンダーを指す由姫。
燐と万里の表情は暗くなった。


「無理無理、2週間で幸せきたら
 苦労しないわー…」


「うん」


魂の抜けたような二人。
馬鹿だろお前、と健吾は呆れて
由姫をたしなめる。
 

落ち込んだ由姫。
刹那にして燐と万里、そして由姫は
テーブルに顔を押し付けて落ち込んでいた。



「じゃ、私は先に帰る」


トントンとプリントを整理して席を立つレイン。
燐は慌てて顔を上げ言う。


「れっレインはクリスマス
 何か予定あるの?」


一瞬黙る恵。
何かを考え終えた恵は「ある」とだけ答えて
生徒会室から出て行った。


「…」


何も言えず固まってしまった燐。
テーブルの方に体を向けなおし不安な表情で呟いた。


「何だろ…」




< 277 / 482 >

この作品をシェア

pagetop