†君、男~Memory.. limit of grief~


「探しても、無駄なだけだ」


「無駄かどうかは
 私が決めることだ」


「強がりな発言は、
 自分を傷つけるぞ」


「…そんなこと知っている」


「…」


それ以上優介は何も言ってこなかった。
恵は一度優介を見た後、
再び歩き始める。



強がりはどっちだ…。



月を見みたのは両方か?


なら、止まるのは誰だ―――




「ジャーン、みてみて」


次の日の学校。
教室に入ってきた朱音が
嬉しそうにチケットをポケットから出す。
“オーロラ花火大会特選席”


「えっオーロラ花火大会!?
 どうしたのそれ?」


最初に食いついたのは結菜だった。
「何それ?」と後ろから恵が訊く。


二人は驚いた。「知らないの?」


「毎年7月20日に行われる
 オーロラ花火大会だよ。
 ほら、○□駅の土手で行われる
 大きな花火大会。知らない?」


「あぁ、あの毎年すごい人数が
 集まる花火大会」


「そうそう。でもその大会は
 抽選で当たった人しか入れないの。
 で、私が当たったのよー」


「いいなー朱音。
 うちも1度見てみたいと
 思ってたんだよね。
 テレビでしか見たことないから」


朱音は鼻で笑い出す。
さらにチケットを恵達に近づけた。


「よーく見なさいよ。
 この券で3人入れるんだよねー。
 つまり、私と結菜と恵で行かない?」


「ホント!行く行く。
 レインも行くよね?」


「うん」


朱音と結菜は盛り上がる。


水那高校の終業式にあるオーロラ花火大会。
それは待ち遠しいもので、
けれど…寂しいものであった。

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