†君、男~Memory.. limit of grief~



「さて、これで終わりかな」


午前3時。最後まで仕事をしていた燐。
生徒会室には燐だけしか
残っていなかった。


ファイルにプリントをしまい、
それを鞄に入れる。
ふぅ…とため息をつきながら
深く椅子に腰を掛けた。


その時扉が開き、
まだ残っていた朱鷺が入ってきた。


「あれ?まだ残ってんの?」


「あっ須藤!…えっとー
 ちょうど今仕事が終わって休憩中。
 もう帰るよ。須藤は?」


「俺も帰る。早く帰って寝たいし」


「そっか…」


少し落ち込む燐。
しぶしぶ鞄を持ち生徒会室を出ようとする。


「安井は何も予定ないの?」


「うん…別に何もないけど」


ふーん…と頷く朱鷺。
燐の表情は強張った。


「じゃぁさ、2つ向こうの駅の
 商店街でクリスマスのイベントしてるみたいだから
 それ見に行く?どうせ暇なんでしょ?」


「    うん、行く!
 えっでも寝なくていいの?」


「別に―…どうせ俺も暇だし」


ワーイと嬉しそうに飛び跳ねる燐。
二人はその商店街へと向かった。




須藤とクリスマスのイベントに…



好きな人と過ごせる事が
凄い嬉しいな―――…



私の幸せが少しだけ見えた気がする。



レインは…大丈夫かな?


< 280 / 482 >

この作品をシェア

pagetop