†君、男~Memory.. limit of grief~
◇
「恵、来てくれてありがとう」
「…」
最後まで行こうか迷った…。
でも行かなきゃいけないと
どこかで思ったのだろう。
周りにはもちろん知っている人などいない。
その場の空気に圧倒されてるだけだ。
「ゆっくりしていってね」
そう恵に言うレイン。
恵を一人残し別のところへと行ってしまった。
その後何度かため息をつく恵。
だんだん息苦しくなってきていた。
持っていたグラスをテーブルに置き、
テラスへと向かっていった。
誰もいないと思って…。