†君、男~Memory.. limit of grief~
「…ッ言いか?よく聞きなさい。
 君のその目は哀しんでいる。
 何かを探しているのだろう?」


「…」


「恵…君は求めているんだ。
 しかしそれが何か分かっていない。
 いつかきっとそれが何か分かる時が来る…ッ」


「何…何なの!? 
 私が求めてるものって!」


「これだけは言っておこう…。
 恵が求めてるものは光ではない」


「       」


充一郎は恵の手を離し、
深く椅子にもたれ大きく深呼吸をした。


「求めているものはいずれ誰かが教えてくれる。
 だがその人は…闇を持ってる。
 人には決して言わないだろうがな…ッ!」


呼吸はさらに乱れ、
胸を掴むその手もだんだん強くなっていた。


数分後その苦しみを大分治まり
充一郎はまた大きく深呼吸をして月を眺めた。


恵の目は涙目になっていた。


「悲しければ月を見ればいい…。
 それが合図だ。恵…大きくなったな。
 私はもう悔いはない…」


充一郎は目を瞑る。
深い眠りへと入っていった…。


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