†君、男~Memory.. limit of grief~
今日の空は快晴だ。
冷たい空気ではあるが、
屋上は暖かかった。
「で?話って何?」
早速優介は訊く。
恵は息を呑み答えた。
「クリスマスの日、宮原家のパーティーに行って…
柳本充一郎さんに会った」
「え?」
「…私の事憎んでないって
言ってた…」
「そっか…良かったな」
優介は安心して微笑む。
しかし恵は首を振った。
「死ぬ間際、私にこう言った。
私が求めてるものは光じゃない…
何を求めてるのかは誰かが教えてくれるって。
けどその人は闇を持ってると」
「―――…」
「私、将来の夢とか何も決まってない。
先生に聞かれても何も答えれない…。
けど、何か償いたいの…私のせいで
夢を失ったお母さんに」
「お母さんはレインのせいなんて
思ってないと思うけど?」
恵は俯く。
手を強く握り締めた。
「お母さんの文集に
将来の夢は“薬剤師”って書いてあった。
その事聞いたら…自分の夢を
おじい様には正直に言えないって言ってて…」
「だから代わりに自分が?」
地面に涙が弾く。
次に恵が話す時声は震えていた。
「探したいの…私が求めてるもの」
優介はそっと恵の頭を撫でる。
顔を覗き込んだ。
「いつか見つかる、きっとだ」
「 」